ごみ捨ての時間

私は17年前に結婚し、韓国に嫁ぎました。婚約中に長男を妊娠したため、旦那さんと二人きりのいわゆるラブラブ新婚生活というものはなく、いきなり乳飲み子を抱えての新婚海外生活のスタートとなりました。

 

その後1年半置きに赤子を授かり、結婚3年目には子供3人という状態に。

3歳、1歳半、0歳の3人を外国で育てるのは大変でした。まだぎりぎり20代だったので若さで乗り切った感じです。でも、毎日毎日の家事育児。韓国語も満足に話せず、母も日本なので助けを求められず、かなりしんどい日々でした。けっこう旦那さんとも喧嘩しました。離婚して子供連れて帰国しようと何度考えたことか。

そんな気が狂いそうな日々の中、唯一ほっと一息つくことができたのは、夜、ごみ置き場にごみを捨てに行く時。その時だけは、正々堂々と子供達を旦那さんに見てもらって一人で外に出ることができました。ただ数分の夜の外出。

いつも、その時だけは、昔の自分に戻れるような、穏やかな気持ちになれたのを覚えています。

 

そんな赤子達も今は中高生になり、私が気が狂いそうになることもなくなりました。

それでも、やっぱり一日の終わりにごみ出しをする時は特別で、なんともいえない安堵感を感じてしまいます。

ほっと夜空を見上げたり、冷たい夜風を感じたり。私の大切な時間です。